作業は丸投げしても知識は己が学べ

私の知る限りだが、中小企業に経理担当をおく傾向が多く見られる。

社長入れて全部で3人の会社にも、別に経理担当者がいる、といった事例もある。

因みに、こういった会社でも決算の際には税理士ないしは会計士に依頼しており、決算時のみ士業に依頼し、月次は社内で処理しているパターンと、士業に月次で処理してもらっているが、社内に経理担当者をおいているパターンがある。

 

社長たちに「何故、経理担当者をおくのか?」と聞くと、「経理の事が解らない」、「処理が面倒くさい」等と返ってくる。

「何が解らないか?」と聞くと、解らないのではなく、解ろうとしていない、知ろうとしていないとしか捉えようのない答えが返ってくる。

「どう、処理が面倒くさいのか?」と聞くと、処理方法の説明を聞いているうちに、何だか複雑で難しいと受け取り、知ることを中断したような答えが返ってくる。

そして、殆どの社長は口をそろえて、「自分が経理をやるよりも、営業の方が重要でしょ?」と言う。

 

奇しくも、こういった会社で後日起きたことは、売上不振になり、経費削減が必然となった際に、パートの経理担当者の人件費に目が行き、切るに切れないジレンマが生じたり、経理担当者が権力を握った様な状態になり、資金移動や経費精算等に於いて、社長が指示しようにも言うとおりに動かず、機嫌を伺わねばならなくなったり、いきなり辞めると言い出し、引き継ぎもせずに出て行ってしまった、等々。

要は、“足元を見られた状態”になって、社長が苦労した、という結果になっている。

 

重要な事は、本タイトル通り、“作業”は人を雇ってやってもらえばいい、しかし、その人がやっている“作業”に関する経理の“知識”は士業から直接指導を受け、知る必要がある。

そもそも話であるが、事業を営むという事は利益を追求する事、平たく言うと、「お金を残す為にやる」という事なのだから、お金を稼ぐのが目的ではなく、稼いできたお金を原資に、払うべき物事に払い終えた後にいくら残ったか?までが社長の責任範囲である。

営業だけするなら単なるセールスパーソン。経営者と言うなら、稼いできたお金の流れの顛末まで「知っている」事。

 

因みに、私自身の経験を言うと、経営コンサルティング・飲食店プロデュース事業と別に、一時期4店舗の飲食店経営を行い、年商約5億円、PA含む従業員入れて50名の規模だったとき、経理担当者はゼロ。

店舗は店舗で出来るところまで処理し、月末締めの各種経理関係書類は10日に顧問税理士に提出し、同月の25日以降月末までに前月分の損益計算書を作成してもらっていた。最終的に私が取りまとめ役となり、顧問税理士に毎月提出していた。

出来るだけ簡素且つ迅速に処理できるよう、双方の役割分担の明確化と、それが実現する書式を設け、更には当社が使いやすい勘定科目名を用いた損益計算書(PL)作成と給与計算を行ってもらっていた。

 

私に言わせると、経理は「整理整頓」。

得たお金は「いつ」、「誰から」、「いくら」を明確にし、使ったお金は、「いつ」、「誰に」、「いくら」、「何のため」を明確にするだけ。

ポイントは「何のため」かで、これを専門用語で「勘定科目」と言う。一般的な「勘定科目」を使おうとするから難しく感じるだけ。難しいと思う勘定科目を自分が理解できるわかりやすい言葉に変えればそれでヨシ。

 

決して難しいものでもなく、面倒くさいものでもない。

行っている事業が結果的にどうなっているのか?を社長が把握する事は当然の事。

結果だけを聞かず、プロセスを知る事こそ、問題・課題が生じた時に、多種多様な対処がスピーディーに行える。

 

「経営者」というなら経営者に必要な知識を身に着ける事。作業はやらなくても構わない。

 

 

 

 

 

 



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