自分が言いたいだけか、相手に伝えたいのか

表題の質問をすると、多くの人は「後者」の為に話しているだろう。

しかし、現実的にあなたが発している言葉はあなたが思っている通り、相手に伝わっているだろうか?

 

長々と起きたことを事細かに話し続け、相手の頭の中は「要は何が言いたいの?」

良かれと思って話すことが言葉不足で、相手の頭の中は「以前と話が違う」

一所懸命話しているが語彙不足で、相手の頭の中は「何言ってるかわからない」

日本語を話しているにも関わらず、自己流の表現と頭に入っている語彙で話すことで相手によっては伝わっている様で伝わらない。

これが生じるのは“話す”という「スキル」と“語彙”と言う「ナレッジ」不足が原因。

話すスキルが高くても語彙力が低いと単なるお喋りにしか聞こえず、自分が言いたい事を言っているだけ状態になり、相手には殆ど伝わらない。挙句、誤解した語彙を用いて話すと余計に相手の聞く気を損ね、混乱させる。

語彙力があっても、話すスキルが低いと、自分が言いたい事を言っているだけ状態になり、相手には殆ど伝わらない。一例とすると、文末に「~という形で」、「~の事として」、「~と言う訳で」等々、口癖として定型句が来る場合がそうである。

 

リーダー等、人の上に立ち、人を動かす立場にある人ならば、「話すスキルとナレッジ」が高くなければならない。

十人十色の部下に対し、あなたの言葉を「わかれ!」等と思っている様であればリーダー失格。逆で、十人十色に理解してもらえる「話すスキルとナレッジ」を習得することがリーダーの必要条件である。

これが習得出来ていないと、コミュニケーショントラブルが頻発する。所謂、「言った、言ってない」、「聞いた、聞いてない」、「わかった、わかってない」。

社内の報連相を電話を用いて殆ど多くを行っている組織は必ずと言っていい程、コミュニケーショントラブルが頻発している。そして「話す事」で対処するから、更にコミュニケーショントラブルが重なり悪循環が加速する。

 

私の経験の限り、「話すスキルとナレッジ」が低い人は文章で自分の伝えたい事を伝えるのも話す事以上に下手な傾向がある。

本人はそれを自覚しているので、「書く事」を避けて「話す事」で意思伝達をしようとするが、話したところで文脈構成が粗末なので、結果、伝わらない。

解りやすく言うと、「書く事」とは、言いたい事を極力、端的且つ簡潔に記述する事なので、「書く事」が上手く出来なければ「話す事」は当然として上手い訳がないのである。

平たく言うと、文章を書くのが苦手や下手な人は話すことが下手であり、逆に言えば、話すのが下手な人は文章を書くのも下手なのである。

 

これは必ずしも、「教養がある、ない」という事で片付く事ではない。

「教養」とは、主に知識を指すので、語彙と言う知識が高くても、話すのが下手な人も数多くいる。

こういった人は「話す」という行為が不得意が為に「スキル不足」と言え、これは繰り返すことで「量が質を産む」と言う言葉の通り、克服するには何度も何度も繰り返せばやがて上達する。

 

私に言わせると、「教養がある、ない」ではなく、客観的且つ冷静にに自分を捉えて、無知・無能の自分を省みて勉強しよう!という「向上心があるかないか」の問題である。

現時点で習得しているスキルとナレッジだけでコミュニケーションをとって済まそうと思うのか、それとも、新たなスキルとナレッジを習得すべく、語彙を調べたり、本を読んだり、そして何よりも億劫になりがちな“文章を書いてみる”という事に自ら取り組むかどうかである。

 

「相手に正確に伝えたい!わかってもらいたい”」と思うなら、長々と情熱的に話すよりも、文章を沢山書いて自分の“話す能力”を鍛える事が必要である。

何事も“上達する”には「努力」が必要で、努力とは「苦しく」「辛い」ものである。その「苦しく」「辛い」ことを「継続」した長さに「上達度」は比例するものである。



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