“はい”は何に対する”はい”なのか?

自分にとって上位者からの指示や命令に対して「返事」をする事は礼儀として当然のことである。

しかし、指示や命令の内容に対して理解や同意していないにも関わらず、“はい”と返事する事はしてはいけないのだが、所謂「場の空気」から、“はい”と言わざるを得ない事が通例である。

中小企業の会議でよくある光景は、社長が幹部を集めて檄を飛ばす。そして最後に「いいか!わかったか!?」で締めくくる。

それに対して参加者は“はい”と返事する。正確には“はい”と「返事せざるを得ない」と言える。

こんなクロージングが日常茶飯事で、後日、社長が「あれ程言ったのに」、「あの時“はい”と返事しただろ」等の常套句で吠え始める。

リーダーが注意しなければならないのは、部下の“はい”の返事をしているのは、礼儀として言っているのか、内容の理解や合意として言っているのかを的確に把握する事。

求めているのは「“はい”という返事」ではなく、「望む結果」なのだから、部下は「望む結果」に到達する方法や知識・技術を知っているのか?それとも知らないのか?この点をリーダーが的確に把握しなければならない。

部下が知らなければ出来なくて当然だから教えなければならないし、教えたことを忘れているなら思い出させる必要がある。

叱るときは唯一、部下が知っているにも関わらず、本人の怠慢でやろうとしていない、やっていない時。

“はい”と言わせても、叱っても「望む結果」に至る確率が高まる訳ではない。「望む結果」に到達したいなら、“はい”と言っている部下それぞれの「能力」や「心理」を把握すべく、日々、豊富なコミュニケーションを取るのが最良の方法である。

 



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